「私は台湾人」 チェコ上院議長の演説に立法院喝采

時事
勲章を授与される=1日、台北(共同)

訪台中のチェコのビストルチル上院議長は1日、台北市の立法院で約45分間演説。台湾の民主主義を讃え、「私は台湾人」と支持を表明すると共に、「非民主的な国家の命令に従う必要はない」と暗に中国を批判した。

【産経新聞9月1日】

【台北=矢板明夫】台湾訪問中のチェコのビストルチル上院議長は1日、台北市の立法院(国会に相当)で約45分間演説し、台湾の民主主義をたたえた上で「私は台湾人」と強調、台湾への支持を表明した。外交関係のない国の議会議長が台湾の立法院で演説するのは初めて。

ビストルチル氏は演説の冒頭、今回の台湾訪問はチェコの上院で96%の支持を受けたと説明。中国が訪問に反発していることを念頭に「世界各地の議会は、民主主義の原則と自由の精神を守らなければならない」と強調した。その上で「国会で作る法律は人々を守るためのものであり、人々の自由を制限するものであってはならない」と語った。

ビストルチル氏は、ケネディ元米大統領が東西冷戦時代の1963年、共産主義体制による脅威の最前線にあった西ベルリンでの演説で「私はベルリン市民」と訴え、支持を表明したことに言及。「私も自分の形で台湾への支持を表現したい」と述べた後、中国語で「私は台湾人」と訴えた。

この言葉に立法委員(国会議員)らは総立ちとなり、議場では大きな拍手が約1分間鳴り響いた。野党「時代力量」の王婉諭氏は地元メディアに対し、「その場にいたすべての人が議長の言葉に感動した」と説明。共産主義体制から民主化したチェコの歴史を踏まえ、「チェコは台湾と同じように自由と民主主義を求め長年努力してきた仲間。これからはさらに結束を固くして民主主義の価値観を一緒に守りたい」と話した。

立法院長(国会議長)から勲章を授与されたビストルチル氏は演説後、記者団に対し、今回の訪台の目的として「経済界の交流と協力を深化させること」「同じ価値観を持つ台湾との議会外交を展開すること」を挙げたほか、「チェコの主権と独立性をアピールすることも訪問目的の一つだ」と明らかにした。「民主主義国家はほかの国の指図を受けるべきではない。特に非民主的な国家の命令に従う必要はない」と中国を暗に批判した。

ビストルチル氏は3日に蔡英文総統と会談する予定。チェコの訪問団一行は上院議員や経済界関係者、学術文化関係者ら約90人で構成されている。

【引用元】https://www.sankei.com/world/news/200901/wor2009010017-n1.html