大紀元によると、英上院では4日、中国の強制臓器摘出という人道に対する罪に英国人が関わらないようにする修正法案について議論されたという。北京冬季五輪が開幕を迎え、議員は中国共産党の「醜悪なプロパガンダ拡散に五輪が利用されてはならない」と強調した。
議題はフィリップ・ハント上院議員が提出した「人体組織法(Human Tissue Act)」修正案で、臓器調達ルートに不明点が残る中国などに英国人が移植目的で渡航しないよう監視を強化する内容を追加する。また「人体標本展示ビジネス」に歯止めをかけるため、医療や展示目的の遺体を輸入する際も提供者の意思を国内調達同様に求めるとした。
ハント議員は地元バーミンガムで2018年に開催された人体標本展の倫理問題を掲げた。標本の輸入元は中国遼寧省大連にある企業「鴻峰生物科学技術」からで、すべて身分証や身体提供の同意書が確認できていないという。また人体にシリコンを注入する技法「プラスティネーション」で製造された標本は、大連収容所で惨たらしい迫害に遭う法輪功学習者である可能性も示唆した。
英国立機関で臓器移植事業を担う「NHS血液および臓器移植(NHS Blood and Transplant)」によると2010年から2020年まで、中国で移植手術を受けた後に英国でフォローアップ受診をした患者の登録が29例あったという。
ハント議員は、人権弁護士や検察などからなる第三者委員会が中国の強制臓器摘出問題を裁量した「民衆法廷」が中国では長らく広範囲に渡り収監者が移植臓器のために殺害されていると結論づけたことや、国連特別人権報告官ら12人が昨年6月に臓器収奪に関する信頼できる報告があると問題提起し中国共産党に説明を求めたことを挙げた。いずれも犠牲者は法輪功学習者やウイグル人の疑いがあると明記している。
議場では複数の議員が修正案に支持を示した。
【関連記事】「沈黙は共犯」中国共産党の臓器狩りに口閉ざす主要メディア
人権侵害が現在進行中との報告を受けて、アルトン議員は修正案に支持を示した。ナチス政権が1936年のベルリン大会を政治宣伝に利用したと前例を挙げ「五輪の理想が堕落するのを目にしたことはない」と述べ、北京冬季五輪を「ジェノサイド・ゲーム」と表現した。
ノースオーバー議員は修正案を支持した。 民衆法廷の判決やその他の豊富な証拠を考慮すると、英国は「強制的な臓器摘出について知らないとは言えない」と述べた。またスペイン、イタリア、ベルギー、ノルウェー、イスラエルなどの多くの国が中国渡航移植の禁止もしくは規制を講じたことを挙げ、英国も動くべきだと主張した。
センタム議員は五輪開催中の中国で強制臓器摘出が行われていることは「卑劣で恥ずべき行為」と非難した。ソーントン議員は、修正案をさらに踏み込み、フランスに倣い人体および臓器の展示を全面的に禁止すべきだと述べた。
修正案を提起したハント議員は、これまで英国は経済関係を考慮して対中制裁に曖昧さを含んだが「このようなひどい行為に対して強硬な姿勢を示すべきだ。曖昧にする余地は全くない」と述べ、修正案への思いを語った。