暗殺されたハイチ大統領、かつて中共を拒絶していた

時事

世界で数少ない中華民国(台湾)と、国交樹立している国の一つである、カリブ海の島国ハイチのジョブネル・モイーズ大統領(53)が7日未明、米麻薬取締局(DEA)の捜査官を名乗る者らによって暗殺された。米国政府関係者がメディア対し、襲撃者はDEAの捜査官を装っていたと述べた。モイーズ大統領は生前に、数回中国共産党との交流を拒否していたという。

ハイチのクロード・ジョゼフ暫定首相の声明によると、「(英語やスペイン語を話す)外国人集団」は7日午前1時頃、首都ポルトープランス近郊にあるモイーズ氏の自宅に侵入し、射殺したと英紙「デイリーメール」紙が報じた。

目撃者が撮影したとされる動画では、アメリカ訛りのある男が拡声器で「DEAだ。全員下がれ」と叫んだ。住民らは、威力のある銃弾の音を聞き、黒い服を着た男たちが近所を疾走するのを見たと報告した。現場からのビデオでは、加害者の何人かがスペイン語を話すのを聞くことができたという。

Video Appears to Show Moments After Assassination of Haitian President(2021.7.8)

しかし、米国国務省は、攻撃者がDEAエージェントであったことを否定しており、米国政府関係者は「マイアミ・ヘラルド」紙に、襲撃者はDEAの人間のふりをしており、「傭兵(ようへい)」だと語った。

ハイチ司法省の初歩的な調査結果では、モイーズ氏は「左耳に1回、右腕に1回、左足に1回、顔に1回、腹部に数回」の計12回の銃撃を受けたとされている。カール・ヘンリー・デスティン判事は現地メディアに対し、「大統領は服やズボンが血まみれで、口を開き、左目がえぐられた状態で発見された」と述べ、拷問を受けていたのではないかと指摘した。

ジョセフ暫定首相は「現在、国の責任者であり、警察と軍隊は国家(政権)の継続を保証し、国を守るためにあらゆる措置を講じている」と表明した。

警察によると、モイーズ大統領殺害の容疑者集団と治安部隊が銃撃戦になり、当局は4人を射殺し、2人を拘束したという。

レオン・シャルル警察長官は7日夜、テレビ演説で、「傭兵4人を殺害し、2人を拘束した」と発表。「人質になった警官3人を救出した。犯行現場を離れようとする容疑者集団の逃走を我々は阻止し、それ以来、戦闘が続いている」と述べた。

バイデン米大統領は「恐ろしい暗殺」に直面したハイチの人々に哀悼の意を表した。

英国のジョンソン首相は、「モイーズ氏の死を悲しんでいる」とツイートし、犯行を「忌まわしい行為」とし、平静を保つよう求めた。

モイーズ大統領は生前に、数回中国共産党との交流を拒否

看中国(2021年7月11日)によると、モイーズ大統領が生前に、数回中国共産党(以下、中共)との交流を拒否したことが、注目されている。

米メディア「ブライトバート・ニュース・ネットワーク」によると、混迷していた2015年の選挙で、モイーズ氏がミシェル・マテリ元大統領に代わって、臨時大統領になった。

ハイチでは大統領の任期終了をめぐって、与野党が対立していた。モイーズ大統領は自身の任期が2022年2月まで残っていると主張しているが、野党側は今年2月で任期切れだと抗議し、モイーズ大統領を独裁者と称した。

新唐人テレビの報道によると、野党の反対に直面するほか、モイーズ大統領はハイチのビジネス界のトップらから、中共との往来を迫られていた。

ハイチは世界で数少ない中華民国(台湾)と、国交樹立している国の一つである。モイーズ大統領は、2018年に台湾を訪問した。訪問のわずか数週間前、同じくカリブ海の国ドミニカ共和国は、高い利益がある中共との貿易取引と引き換えに、台湾と国交断絶した。中共当局関係者は2019年に、ハイチに「無利息貸付」を提案したが、モイーズ大統領は受け入れなかったと明かした。

【引用元】
看中国「ハイチ大統領暗殺 犯人は傭兵」2021年7月9日
看中国「暗殺されたハイチ大統領、かつて中共を拒絶」2021年7月11日