新書が中国奴隷労働の実態を克明に記述

人権
法輪功学習者を主人公に、奴隷労働の壮絶な実態を描いた新書と著者のアメリア・パン氏

NTDジャパン(2021年3月30日)によると、米国の中国系ジャーナリストのアメリア・パンさんは法輪功学習者を主人公にした最新刊の中で、安価な「中国製」製品の背後に存在する、奴隷労働者の壮絶な実態に焦点を当て、国際社会に対し中国人の人権侵害に反対する企業を支持するよう呼びかけている。

1999年7月、当時の国家主席・江沢民はただ法輪功をしているというだけで無実の法輪功学習者に対して残虐な弾圧を発動した。法輪功学習者の孫毅(スン・イ)さんは、アメリア・パンさんの最新刊の主人公だ。孫さんは労働教養の判決を受けて遼寧省馬三家労働教養所に到着するとすぐに、手作業で紙をこすり合わせて輸出用のキノコのオーナメントを製造するよう求められた。摩擦によって彼の手は見る間に荒れて、傷口から感染したが、それでも一日当たり160個のノルマが課されていた。終わりの見えない労働はあまりにも過酷で、孫毅さんの普段の睡眠時間はわずか2時間から4時間、眠っていてもオーナメントを作る夢を見ていた。

馬三家で迫害を受けたことのある姜晶さんも同じような経験をしている。

大連出身で米国在住の法輪功学習者、姜晶さん
「工芸品に使われる材料はボール紙だ。それを手でもんでナプキンのように柔らかくする。それから毒性の高い接着剤を使ってこの花を作る。毎日手で花を形作るのだ。この手は一日作業して食事を摂るころには箸も持てないほどになっている。着ている服はもちろん、手の指も接着剤のせいで皮がむけてしまっていた」

彼らのような違法に収監された人々の生活はこれだけではない。孫毅さんは馬三家労働教養所で同時に様々な酷刑や虐待を受けていた。

中共の監獄と労働教養所で12年近くを乗り切った中国の元起業家の于溟(う・めい)さんは、彼が出会った奴隷労働者の年齢は16歳から70歳までとばらばらで、あらゆる階層の人がおり、多くの人は少なくとも非人道的な奴隷労働に12時間以上従事させられていたと明かしている。

中国の元起業家の于溟さん
「仕事が多い時には24時間や48時間も働かされる。ある奴隷労働者はコンクリートの上や、作業台の上で眠るよう強要された」

劣悪な生存環境と極度の疲労にさらされているうえ、酷刑も行われることで、奴隷労働者は心身ともに極限の状況を強いられていた。もちこたえた人もいたが、迫害によって死亡したり障害が残ったりした人もいれば、様々な病に倒れた人もいた。

現在は米国で生活している姜晶さんは、コストコで皮むき済みのニンニクを見た時に背筋が凍る思いがしたと言う。

姜晶さん
「買わないと私は言った。(違法に収監されていた)馬三家でニンニクの皮むきをやったことがあったからだ。一日に何袋ものニンニクをむかされた」

馬三家で数種類の製品を作っていた姜晶さんは、米国のスーパーマーケットで安く売られている中国製品の多くは奴隷労働者が作ったものだと指摘している。

于溟さん
「中国の全ての監獄、全ての労働教養所、全ての看守所は労働効率が最も高い血と汗にまみれた工場に変わっている。すべての被収容者は彼らの金のなる木だ。監獄側は彼らに対する健康診断を行わないため、HIVや各種肝炎、風邪による発熱などの症状のあるすべての人に、生産ラインでの作業を強要している」

パンさんは、「こんなにも長い間、中共の強制労働問題は解決されてこなかった。グローバル貿易と西側のサプライチェーンが、中共の共犯者になった。現代の消費者が安くてはやりの品を求めていることも、それを後押ししている」と指摘している。

于溟さん
「多くの国では仕事の相当な部分を実際には中国の奴隷労働者に担わせて、中共を支援し人権を侵害している。例えば、杭州市のある監獄では、杭州中賽実業有限公司の名で登録し、38か所もの監獄を管轄している。そこには約4万人が収容され、一年中アパレル製品の加工や、来料加工、委託加工に従事させている。外国向け製品が9割以上を占めている」

実際、中共の犯罪組織は強制労働の事実を隠そうともしていない。

2019年初頭にパンさんは材料調達者を装って、上海市青東強制隔離麻薬中毒更正所を訪問した時に、この施設では2時間おきにトラックが出入りしていたと述べている。

その後パンさんの調査によって、企業側はその工場に奴隷労働者が使われているかどうかを簡単に調べられるにもかかわらず、金のために見て見ぬふりをしているのだと分かった。中共の圧力によって一般的な調査システムは通用せず、労働者は脅迫され事実を公にすることができないでいる。

中国で普遍的に行われている強制労働をどうやって撲滅するかについて、パンさんは新疆が良いきっかけになるだろうと指摘し、その理由について中共が新疆に巨額の投資を行っており、新疆が一帯一路の重要交通ハブであることを挙げ、もし西側諸国の政府が新疆から撤退すれば、強い切り札になるだろうと述べている。