SNS大手の言論統制 SNS保護の「セクション230」再定義の必要性

時事

米大統領選に出馬している野党・民主党のジョー・バイデン候補と次男ハンター氏に関する米タブロイド紙New York Postの記事について、SNS大手の米Twitterと米Facebookが10月14日、表示を制限した問題で波紋が広がっている。それと同時に、SNS企業に対する法的保護の根拠になっている「セクション230」も議論を呼んでおり、米連邦通信委員会(FCC)は10月15日、セクション230の定義を明確にする声明を発表した。

TwitterとFacebook、タブロイドのバイデン候補スキャンダル記事投稿を規制

ITmedia(2020年10月15日)によると、米Twitterと米Facebookは10月14日(現地時間)、米タブロイド紙New York Postが同日投稿した民主党の米大統領候補、ジョー・バイデン氏に関する2本のスキャンダル記事の拡散を制限するための措置をそれぞれ講じた。

この記事は、2015年に当時バラク・オバマ大統領政権で副大統領を務めていたバイデン氏が、息子のハンター・バイデン氏の仲介で、不正疑惑のあったウクライナ企業の幹部と面会し、その便宜を図ったというもの。その証拠となるメールが、修理店に持ち込まれたハンター・バイデン氏のものとみられるPC(確証はない)から見つかったという。記事にはメールの画像なども掲載されている。

TwitterはNew York Postの公式アカウントが投稿したこの記事のリンク投稿を非表示にした。

Twitterは投稿を非表示にした理由を公式アカウントでの連投ツイートで、投稿で表示されたメールアドレスや電話番号が、個人情報の表示を禁止するTwitterルールに違反し、また、これらの画像がハッキングの結果入手されたものの画像であるため、それもポリシーに違反するためと説明した。

米大衆紙のバイデン親子記事、SNSが表示制限 ツイッターCEOは自社対応批判

BBCニュースジャパン(2020年10月16日)によると、米大統領選に出馬している野党・民主党のジョー・バイデン候補とその息子に関する米大衆紙の記事について、フェイスブックとツイッターが表示を制限した問題で、トランプ陣営や与党・共和党だけでなく、ツイッターのドーシーCEOも自社の対応を「容認できない」と批判した。

ツイッターは14日、米大衆紙ニューヨーク・ポストの記事について、リンクが「安全でない可能性がある」と表示し、ユーザーが記事リンクをツイートできないようにした。その理由については後から、記事内に「ハッキングによって得られた内容」が含まれているからだと説明した。

同様にフェイスブックも、問題記事がニュースフィードで拡散されるのを制限した。これは、記事内容が意図的に事実と異なる情報操作かどうかを第三者がファクトチェックして判断するための時間を確保するのが目的で、「通常の手続きだ」と説明した。

11月3日の大統領選を目前にした今回のツイッターとフェイスブックの対応によって、ソーシャルメディアには偏向や検閲が存在するという批判が再燃している。

SNS保護の「セクション230」再定義の必要性

SNS大手がバイデン一家のスキャンダルのニュースをブロックしたことで波紋が広がっていると同時に、SNS企業に対する法的保護の根拠になっている「セクション230」も議論を呼んでいる。米連邦通信委員会(FCC)は10月15日、セクション230の定義を明確にする声明を発表した。

いわゆる「セクション230」とは、1996年に制定された米通信品位法第230条のことで、SNSプラットフォーム企業が第三者の発言に対して責任を問われることがないように、その核心部分を保護するもの。しかし、この条項は、SNSが「善意の目的」のためにいくつかの「攻撃的なコンテンツ」を制限することを可能にするという内容も含まれている。続きは動画で・・・