「上海科学院はスパイ活動の前線」米著名シンクタンクと提携関係

時事
写真は米シンクタンク「ブルッキングス研究所」の公開セミナーの様子(Alex Wong/Getty Images)

【大紀元(2020年8月17日)】
米メディア、ワシントン・フリー・ビーコンは8月14日、米データーベースおよび連邦裁判所の文書を引用して、ワシントンの有名シンクタンクである「ブルッキングス研究所」と提携関係にある上海社会科学院は、中国当局の諜報活動およびスパイ採用の最前線にいると報じた。

報道によると、「上海市政府が出資した中国の哲学および社会科学研究の最高学術機構、上海社会科学院は、米FBIに問題視されている」という。

スパイ活動のフロンティア

ルッキングス研究所傘下の「ブルッキングス研究所ドーハセンター」は、2018年1月に上海社会科学院と覚書を締結した。双方のパートナーシップが確立して以来、それぞれ上海とドーハで合同セミナーを開催し、テーマは「一帯一路プロジュクトにおける中東協力」に焦点を当てていた。

「一帯一路」とは、北京の対外インフラ輸出プロジェクトで、不透明な運営と、参加国に巨額の負債をもたらすことが多いため、米国政府に世界の安全保障上の脅威と見なされている。

前述の報告書はFBIの発言を引用し、「上海社会科学院は中国共産党の海外情報収集とスパイ活動の最前線にある」と述べた。

FBIは、「連邦裁判所の文書とデーターベースによると、同院と中国当局のスパイ機関である国家安全局との間に密接な関係があることを示している」という。

また、米連邦裁判所に提出されたFBIの2019年の証言によると、「中国高官は同院を利用して身元を隠し、また同院人員も海外でスパイを募集している」という。

米中央情報局(CIA)の元職員ケビン・ マロリー(Kevin Mallory)氏は中国のスパイに機密書類を売り渡したとして、2017年に米連邦裁判所で懲役20年の判決を言い渡された。

「同氏が上海社会科学院の中国諜報員によってスパイとしてスカウトされていた」ことが法廷で明らかになった。

同氏の起訴状には「同院と密接な関係にある中国国家安全保障局は、他国の外交政策を特定し、影響を与えるために活動しており、米国を主なターゲットとした秘密かつオープンな人材採用活動を行っている」と書かれていた。

ブルッキングス研究所、複数の元高官を雇用

元国防長官ドナルド・ラムズフェルド氏の下で中国担当者だったジョセフ・ボスコ(Joseph Bosco)氏はワシントン・フリー・ビーコンに対し、「ブルッキングスのようなシンクタンクは、米国政府の内部関係者へのアクセスを提供できるため、中国当局の諜報部にとっては魅力的だ」と述べた。

さらに同氏は「多くのシンクタンクは元政府高官で構成されているため、政府の運営と内部政策に関する内部情報を持っている。そして彼らは政府内にいる人たちとつながりがあるため、多くの内部情報を持っている」と明かした。

ブルッキングス研究所は米政府の元高官を多数雇用しており、民主党大統領候補のジョー・バイデン(Joe Biden)氏の現職外交顧問ら約20数人もここで働いていることに疑問の声が上がっている」とも伝えた。

ブルッキングス研究所のウェブサイトによると、「同研究所の中国戦略イニシアティブ・ディレクターのラッシュ・ ドーシ(Rush Doshi)氏は、バイデン陣営の顧問を務めている。また同研究所のメンバーである中東上級研究員タマラ・コフマン・ウィッテス(Tamara Cofman Wittes)氏は、オバマ大統領時代に就任しており、将来のバイデン政権で活躍する可能性がある」という。

同研究所傘下のジョン・ソーントン中国センターの李成主任は、米中関係全国委員会の理事を務め、また中国系アメリカ人のエリート組織「百人会」の副会長も務めている。

前述の米中関係全国委員会は、カーター元大統領やクリントン元大統領などが名誉委員長を務めるなど、過去数十年にわたって米中関係において重要な役割を果たしてきた。

そして「百人会」は中国系アメリカ人に対して、人種差別と闘うよう呼びかけてきたが、中国国内の人権については発言したことがない。

ブルッキングス研究所の広報担当者はワシントン・フリー・ビーコンに対し、「同研究所は上海科学院とのつながりはもうなく、過去の協力関係も2年間という期間を設けていたため、現在は双方間に資金の提供はない」と語った。

【引用元】https://www.epochtimes.jp/p/2020/08/60935.html