駐中国大使離任で米中関係さらなる悪化 留学生ビザ発給、日本でも厳格化

時事
3年前、トランプ氏は習近平氏の旧友であるブランスタッド氏を大使に任命

10月4日、米国の駐中国大使・ブランスタッド氏は離任したが、米国は新しい大使を任命しておらず、国際外交関係の5つのレベルで第3 級の代理に格下げした。また、中国からの留学生に対する審査について、米国の後、英国に引き続き、日本でも、政府は来年度から大学への留学生や外国人研究者らにビザを発給する際、経済安全保障強化の観点から、審査を厳格化する方針を固めたという。

米中関係は格下げ 日本も留学生ビザ発給が厳格に

大紀元(2020年10月14日)によると、10月4日、米国の駐中国大使ブランスタッド氏は夫人と一緒に帰国した。出発に先立ち、夫婦は米国大使館の中国語サイトで別れの挨拶をし、中国国民と中国文化に対する深い愛は少しも変わっていないと強調した。ビデオの中でブランスタッド大使は、夫人と共に中国で3年以上暮らし26の省や地域を訪れたが、まだまだやるべきことがたくさんあると語った。ビデオの最後で、夫婦は一緒に中国語でありがとうまた会いましょうと言っている。

大使は在任中の米中関係の悪化には触れず、中共の機関紙「人民日報」に投書し、米国大使としての立場で起こった事の顛末を中国国民に説明しようとした。中国の官製メディアに意図的に誘導されるのではなく、中国国民に事実を理解してほしいと願いを込めた。

大使の要請は妥当なもので、中国の崔天凱駐米大使は米国の各メディアに寄稿やインタビューを受けている。中共の駐米外交官は自由に米国社会に深入りすることができ、駐米記者は自由に取材対象を選ぶことができる。ブランスタッド大使は対等な待遇を望んでいただけだが、彼の努力は何の進展もなかった。

「人民日報」は大使が書いた「対等関係のリセット」の文章を掲載しないだけでなく、文章は「偏見に満ちている」とも述べた。“戦狼”と呼ばれる趙立堅氏も大使の記事は「中国に対する悪質な攻撃と中傷だらけ」と批判した。

これまで控えめだったブランスタッド大使はついに我慢できなくなり、大使館の公式微博(ウェイボー)にその文章を載せて、文章を解釈するための「中国の嘘だらけのプロパガンダ体制」と題する記事も加えて載せた。しかし、2つの文章はすぐに削除された。

ブランスタッド大使が離任してから米国は新しい大使を任命していない。国際外交関係の区分は5つのレベルがある。第1級は大使レベルであり、両国は同盟国同士の関係である。第2級 は公使レベル、第3 級 は代理レベル、第4 級 は国交断絶、第5級は戦争状態と言う。ネットに「ブランスタッド大使の離任後、今、米中の間に第3 級 の代理となっているが、これは米中関係の格下げを意味するのか。戦争を意味するのか」とのコメントが出回っている。

また、ネット上のある文章で、「ブランスタッド氏が離任して、廃墟の上に築かれた米中関係はさらに大きい廃墟に崩壊しつつある」と述べている。この文章によると3年前トランプ氏が就任したばかりの時、米中の間にまだ貿易戦争が起きておらず、中国に関してトランプ氏の注目の焦点はまだ経済貿易問題に集中して、両国の制度とイデオロギー面の対立、政治・軍事・科学技術・国際的な指導力においての争いについてまだ認識していない。トランプ氏は習近平氏の旧友であるブランスタッド氏を大使に任命し、彼の人脈とシンボル的な価値を利用して中国との関係を強化したいと考えていることは明らかだった。

しかし、物事は計画どおりには進まず、ブランスタッド大使の在任中に、米中関係は暗黒の時代を迎えた。記事は、ブランスタッド大使の離任は「トランプ政権の対中国政策は本質的に変化したことを示した」とし、41年前に廃墟の上に築かれた米中関係は急速に崩壊し、さらに大きな廃墟になりつつあるとしている。

米国と中国の対立は単に両国関係が悪化するだけの問題ではなく、米国の影響下では欧米諸国も米国に続いて行動する可能性がある。

米国の後、英国も中国からの留学生に対する審査を強化し、中国人留学生に一部敏感な分野への就学を制限している。

今、日本も同じ行動を取っており、読売新聞によると、政府は来年度から大学への留学生や外国人研究者らにビザを発給する際、経済安全保障強化の観点から、審査を厳格化する方針を固めた。安全保障に関係する先端技術や情報が、留学生らを通じて中国などに流出しているとの懸念があるためだと報じた。

報道によると、国家安全保障局や外務・法務・経済産業・防衛各省などが疑わしい人物についての情報を共有できるシステムを構築する方向で、専任担当者も24人にまで増やした他、外務省にも2億2000万円を支給し厳格な審査を強化すると報じた。
欧米諸国が今、中共のスパイ活動を恐れて、中国の学生を詳細まで精査しているのは間違いないことだ。「中共統治下の国から来た」という理由だけで拒絶される可能性がある。これは西洋諸国が中国人を差別するというわけではなく、ブランスタッド大使が言ったように中国人民と中国文化に対する深い愛は少しも変わっていない。西側諸国は中共と中国人民をはっきり区別でき、中共が中国人民を代表できないことを知っている。

しかし不幸なことに、中共は留学生に多くの学生スパイを混ぜている。うまく区別できない場合、西洋諸国は一律に厳しく拒否するのもやむをえないことだ。これも西側諸国のせいではなく、学生スパイのせいにするしかなく、学生スパイが発見されたからこそ、留学生全員が疑われるようになってしまったのだ。
中共が存在する限りこの状況は変わらないだろう!