中国共産党(中共)が外国の政府や機関に対するサイバースパイ活動を行うために、ますます民間企業を利用していることが明らかになった。この事実は、中国のサイバーセキュリティ企業「安洵」から漏洩した多数の内部文書を通じて判明し、世界に衝撃を与えている。
漏洩した文書には、安洵が中共の指示のもと、さまざまな国々や任務に対してハッキングを実行し、その過程で得た報酬の規模が公になった。
中共は「国家情報法」を背景に、民間企業に国家のためのサイバースパイ活動を強要している。この法律は、国家の安全を守る名目の下、企業が国家の指示に従うことを義務付けており、企業の自由や個人のプライバシーを大きく侵害している。安洵の漏洩文書から具体的なハッキング活動の詳細が明らかになった。
たとえば、安洵はわずか2万元(約42万円)で、中共の公安局に対して指定されたインドのメールアカウントへのアクセスサービスを提供し、インドネシア政府の特定の部署のメールボックスにアクセスするサービスも提供していた。
これらの活動は、国際的な法律や規範を無視したものであり、外国の主権を侵害する行為である。漏洩した文書には、安洵がインド国防省、NATO、英国国家犯罪局など、数多くの外国政府や機関に対してハッキングを行ったことが記されている。
他にも韓国、台湾、香港、マレーシアなどアジア諸国の通信を盗聴・盗取していたことも明らかになった。これらの活動は、中共がいかにして民間企業を利用し、広範囲にわたるサイバースパイ活動を展開しているかを示している。
安洵のような企業は、中共から資金提供を受け、水面下で極秘に提供される高度持続的なサイバー攻撃、APT(Advanced Persistent Threat)のように、特定のターゲットに対するハッキングツールやサービスを提供している。
これらのツールやサービスは、外国のインフラや政府機関に対する攻撃に利用され、国際的な緊張を高める要因となっている。
漏洩した文書によって、中共が民間企業を通じて外国の重要インフラに悪意あるコードを埋め込むなど、攻撃の強度と技術的な難易度を高めていることを確認した。このような活動は、中共がいかにしてサイバースペースでの優位を確立しようとしているかを示すものであり、国際社会にとって重大な脅威である。
安洵の事例は、中共と民間企業間の関係の深さを示している。中共政府は、自身と異なる意見を許さず、国家の指示に従わない企業に対しては厳しい処罰を与える。このような政策は、企業の自由を奪い、国際社会における信頼を損なうものである。
この漏洩事件は、中共が国家のために民間セクターのリソースをどのように利用しているか、そしてこうした中共のサイバースペースでの活動がいかに複雑かつ広範囲にわたっているかを世界に示している。
国際社会は、この問題に対して統一された対応を取る必要があり、サイバーセキュリティを強化し、中共の不法な活動に対抗する戦略を立てることが急務である。
【引用記事】大紀元(2024年2月24日)