米国で中国籍研究者逮捕、機密ソフトを中国へ送信か?

時事
カリフォルニア大学ロサンゼルス校

米司法省は28日、カリフォルニア大学の中国籍研究者(29歳)を逮捕、起訴したと発表。機密のソフトウエアの中国への送信疑惑を巡る米連邦捜査局による捜査中、コンピューターのハードウエアを破壊した疑い。またバージニア州の別の中国籍研究者も28日に企業秘密を盗み取った疑いで逮捕されたという。

中国メディアの報道

2020年8月29日、中国共産党系の環球時報のニュースサイトは、米メディアの報道を基に、米国で中国籍の研究者2人が逮捕されたと伝えた。

米CBS傘下のメディアなどの報道を引用して伝えたところによると、米司法省は28日の声明で、カリフォルニア大学ロサンゼルス校の中国籍研究者Guan Leiが、証拠品を破壊した罪で連邦捜査局(FBI)に逮捕・起訴されたと発表した。またバージニア州の別の中国籍の研究者、Hu Haizhouも28日に逮捕されたという。

起訴状によると、Guan Leiは7月25日、壊れたハードドライブを自宅アパートの外にあるごみ箱に捨てているのを目撃された。中国へ帰国する飛行機への搭乗が禁止され、FBIによるパソコンの検査を拒否した後、FBIは壊れたハードドライブを回収したが、修復不能になっていた。Guan Leiは、米国の機密ソフトウエアまたは技術資料を中国国防科技大学(NUDT)へ送信した可能性がある。Guan Leiは中国軍との関係を否定しているという。

またバージニア州の検察官の発表によると、Hu Haizhouの逮捕容疑は、許可なくパソコン内のデータを入手した疑いおよび企業秘密を盗み取った疑い。米メディアによると、Hu Haizhouは25日、シカゴの空港から中国へ渡航しようとしていたが、通常の保安検査で、許可されていない研究コードを持っていることが分かったという。

ロイターによると、米国では、証拠品の破壊は最長20年の禁錮刑に処せられる可能性があるという。

【参考資料】
①Record China「米国で中国籍研究者2人が逮捕される―中国メディア」(2020年8月30日)
②ロイター「米国で中国人研究者逮捕、機密ソフトの中国への送信に関与か」(2020年8月30日)