中国国営メディアは、米国大統領選に出馬するバイデン氏への支持を表明。トランプ政権はここ数カ月、香港や新疆ウイグル自治区における人権侵害問題や、中国発のアプリやハイテク技術による安全保障リスクなど対中強硬策を強めている。中国としてはトランプ氏の敗北を望んでいるのも無理はない。
【大紀元(2020年8月25日)】
中国国営メディアは米大統領選に出馬するジョー・バイデン氏への支持を表明しており、バイデン氏が当選すれば、ドナルド・トランプ大統領よりも米中関係を「より円滑に」 対処できるだろうと表現した。
中国共産党機関紙・環球時報は8月19日、中国のアナリストの話として、「バイデン氏でもトランプ氏でも、米国は中国に対して強硬な姿勢を維持するだろう。しかし、戦術的には、バイデン氏の方がトランプ氏よりもはるかに扱いやすい。これは多くの国が共有する見解だ」と報じた。
この記事は、バイデン氏が民主党の大統領候補指名を正式に受諾した民主党全国大会の最中に掲載された。
バイデン氏は同日、民主党の大統領候補指名を受諾する演説で、自身が大統領に当選したら、中国への医療サプライチェーンの依存はしないと述べた。中国に関する言及はこれだけにとどまっているが、トランプ氏が新型コロナウイルスの流行対策に失敗して、国内の分断を招いたとの批判を展開した。
中国北京にある外交学院国際関係研究所の李海東教授は、「バイデン氏の方が明らかに扱いやすい」と環球時報に語った。「中国に関しては、バイデン前副大統領はオバマ政権時に副大統領を務め、中国指導部との交渉経験も豊富だ。バイデン氏が勝利すれば、より効果的な交流が促進されると期待している」と李氏は付け加えた。
米ホワイトハウス大統領補佐官(通商担当)で中国経済問題に詳しいピーター・ナバロ氏は、野党・民主党全国大会でウイルスの世界的蔓延を引き起こした中国政府の責任について言及しなかったことを批判した。
ナバロ氏は民主党大会について、記者団に対し「中国共産党が米国に対して致命的なウイルスをもたらし、16万人以上の米国人を殺害し、4000万人を失業させて経済に壊滅的な打撃を与え、財政・金融面で何兆ドルもの損害を与えたことについて、一言も言及しなかった」と述べた。
「つまり、米民主党と中国共産党は共通の大義名分を掲げてトランプ政権を打ち負かそうとしている、ということだ。米民主党の戦略は、中国共産党によって引き起こされた世界的なパンデミックを、トランプ政権の責任にするというものだ」と述べた。
米国の情報機関は今月、中国共産党政権はバイデン氏の当選を望んでいるとの分析を明らかにした。国家防諜・安全保障センターのウィリアム・エバニーナ所長は8月7日に発表した声明の中で、「中国は、トランプ大統領が再選されないことを望んでいる」と書いた。
ナンシー・ペロシ下院議長とロバート・オブライエン大統領補佐官 (国家安全保障担当) も最近、中国共産党政権は「トランプ氏の敗北を望んでいるだろう」 との見方を述べた。
トランプ政権はここ数カ月、香港や新疆ウイグル自治区における人権侵害問題や、中国発のアプリやハイテク技術による安全保障リスク、南シナ海での軍事攻撃など、対中強硬策を強めている。
いっぽう、中国の国営メディアは、米国との関係が悪化するなかで、米国に対する批判を強めている。最近、中国国営メディアは戦争を推奨するような報道をしたり、中央政府がテレビ局に戦争映画の放映を指示したりしていて、反米の民族主義感情をあおっている。