高弁護士の妻が問いかける：「死んでいるのか、生きているのか？」

人権

高智晟弁護士は、中国の人権擁護の最前線で勇敢に戦った偉大な人物です。彼の勇気と信念は、法と正義を守るために多大な犠牲を払ったにもかかわらず、決して揺らぐことはない。高弁護士は、弱い立場の人々を守り、社会的正義を追求し続けたその姿勢に、世界中の人々が深い尊敬の念を抱いている。

 

「妻の思い」

米国在住の高智晟氏の妻である耿和（こうわ）さんは2024年8月10日、米サンフランシスコの中国大使館前で行われた集会に出席し、「高氏の釈放を求め」、米政府や国際社会に対し、支援を呼びかけた。耿和さんはこの日、自分自身のX（ツイッター）に2分間の動画を投稿した。生死不明の夫を待ち続ける妻の苦しい思いを綴った耿和さんの映像を見た人は、誰もが心を締め付けられる。

以下は耿和さんの投稿文の和訳

2024年8月13日は、高智晟が失踪してから7年目の日です。丸7年が経ちましたが、私は家族と共に日夜奔走し、あちこちで情報を求め、必死に探し続けましたが、一筋の手掛かりすら得ることができませんでした。私たちは絶望の中で何度も祈り、苦しみの中で希望を抱きましたが、彼からの連絡は一度もありませんでした。

中国、この世界大国と呼ばれる国よ、あなたたちはしばしば自らを「責任ある大国」として誇っていますが、果たして本当に国民に責任を持っているのでしょうか？　一人の市民であり、著名な人権弁護士である高智晟が、明るい日中に失踪し、家族も国際社会もその行方を知らないという事実が許されていることを、あなたたちはどう思っているのでしょうか？

あなたたちは毎日のように「法治国家」を叫んでいますが、服役中の犯人でさえも行動の追跡が可能なのに、高智晟という国際的に著名な中国の弁護士、合法的な市民が、何の説明もなく、無情に存在の痕跡を奪われる。こんな冷徹で残酷な国が存在するのでしょうか？

高智晟は、人権問題に関わったために、2005年から無限の獄中生活と非人道的な拷問に耐え続けています。私たちの家庭では、彼の突然の失踪がもはや常態化しています。警察に密かに連行されるたびに、私たちは焦りながらも何とか情報を得ますが、それもいつも心が引き裂かれるような内容です。しかし、今回ばかりは、完全に絶望に陥ってしまいました。

失踪前、彼はまず5年間の執行猶予を受け、その後3年の実刑を言い渡されました。出獄した時には、すでに虐待されて無残な姿で、ほとんど言葉も発せなくなっていました。出所後、彼は陕北の実家で3年間の軟禁生活を送りました。そして、2017年8月13日に再び失踪し、それ以降音沙汰はありません。私は夜中に何度も泣き、悪夢から目を覚まし、彼の声をもう一度聞けることをただひたすらに願いました。たとえそれが一言でも、一文字でも。

この19年間、高智晟は最も大切な自由を失い、彼の日々は拘束、失踪、逮捕、投獄、政治的迫害、拷問、軟禁という無限の暗闇の中で過ごされています。彼は普通の人として過ごした一日すらありません。私は2009年にアメリカに逃亡し、15年間も彼と離れ離れで過ごしています。この15年、私は日々、彼への思いに苦しみ、子供は痛みと迷いの中で成長しました。そして、彼は今もなお、音信不通のままです。私は何度も一人で涙を流し、彼の孤独で無力な姿を想像しては、心が痛むばかりです。

高智晟は今年60歳になりました。彼の人生の三分の一が、暗闇と迫害の中で過ぎ去ったのです。彼の人生を思うと、私の心は引き裂かれるように痛み、息ができないほどです。彼の写真を見ることさえも恐ろしい。文字や映像が、まるでナイフのように私の心を切り裂いていくからです。今、彼の笑顔や声は私の記憶の中でだんだん薄れていき、私は彼の顔さえも思い出せなくなる日が来るのではないかと恐れています。

私はもう何も言う力がありません。この15年の間、私は数えきれないほど、さまざまな場面で夫のために声を上げてきましたが、彼の運命はまるで海の底に沈んだかのように、何一つ明らかになっていません。今日は、再び中国共産党政府に呼びかけます。彼を解放してほしいとは求めませんし、自由を取り戻してほしいとも望みません。私がただ求めるのは、彼がまだ生きているのか、死んでいるのか、それだけを教えてほしいということです。たとえ彼が一息でも生きているのなら、私は残りの人生をかけて彼を守り続けます。

耿和
2024年8月11日