ゼロコロナ政策下 北京での感染悪化? 上海では外国人が餓死?

時事

新型コロナウイルスの感染を封じ込める「ゼロコロナ」政策を掲げる中国では、中国最大の経済都市・上海市が1カ月以上にわたり都市封鎖(ロックダウン)が続くほか、首都・北京市でも感染が広がり始めた。中国各地では強引な隔離措置が取られ、市民の反発は強まっている。上海封鎖の被害は外国人にまで及び、住居内での死亡が確認されている。

北京、公衆トイレ2人同時使用を禁止

北京での感染状況が悪化するにつれ、当局は様々な奇策を実施している。「北京市城市管理委員会は、封鎖管理区域内の公衆トイレは1人一回の消毒を行い、2人以上が同時にトイレを使用することを禁止すると発表した」と北京晩報が5月3日に報じた。

当局の報告によると、北京で、ある感染者が3回公衆トイレに行き、40人近くが感染したとのこと。そのため、当局は上述のトイレ禁止令を実施したという。この奇策に市民は、「今は感染したとしてもただのインフルエンザなのに、ここまでする必要があるのか。これからは公衆トイレに行くのも、くじ引きや抽選になるのか」と嘲笑した。

この他にも北京では、レストランでの食事を禁止、さらには屋外での食事を見かけたら通報するよう呼びかけている。中国のゴールデンウイーク中の5月2日の夜、朝陽区亮馬川のほとりで、多くの人が食べ物を持ち寄って、友人や家族と野外で食事していた。しかし市民に通報され、都市管理役人の城管によって人々は退散させられた。

5月4日以降、40以上の地下鉄が閉鎖され、158のバスが迂回・運休している。 市内の小中学校は連休明けの授業開始を延期し、大学は管理を強化し、人の出入りを制限した。

世界のほとんどの国が大流行期を脱し、通常の生活に回復しつつある中、中国共産党(中共)は防疫を政治問題として扱い、欧米との「制度的優位性の争い」と考えている。一方で、中国製ワクチンはほぼ効果がなく、都市封鎖も失敗しているという現実を受け止めようとせず、依然非人道的な封鎖管理である「ゼロコロナ政策」を堅持し、民生に深刻な影響を与えている。ある市民は「コロナは怖くない、怖いのは封鎖と隔離だ。隔離が続けば生きていけない」と直言している。

上海封鎖の悲劇:外国人がアパートで死亡

上海封鎖の被害は外国人にまで及んでいる。先日、40代の韓国人男性がマンションで死亡し、発見されるまでに数日かかっていたという情報が流れている。少し前には、南アフリカ人女性も上海のアパートで亡くなっており、餓死が疑われている。

韓国メディア・北朝鮮日報の5月4日の報道では、上海の移民によると、上海のコリアタウンに近い閔行区のアパートで韓国人男性Aさんが死亡したという。Aさんは、大手流通企業の社員で、上海で一人暮らしをしていた。4月の封鎖以来、彼の住む地域は封鎖され、彼はアパートに一人で留まっていた。在上海韓国総領事館の職員が現場に到着し、調査に参加しており、中共側に対し、公平かつ客観的にAさんの死因を究明するよう要請している。

上海の封鎖期間中に外国人が死亡したのは、今回が初めてではなく、4月中旬にも29歳の南アフリカ人女性が上海のアパートで不審死している。

4月28日付の南アフリカメディア『SAFFARAZZI』によると、南アフリカ人女性ノマコクワ・ブラッキーさんの家族は、4月18日に娘の死を知り、衝撃を受けたという。ブラッキーさんは2017年に上海に定住し、学校で英語教師として働いていた。今年3月に上海で疫病が勃発し、4月初めに封鎖されたが、封鎖期間中も、彼女は自宅で仕事を続け、南アフリカの東ケープ州にいる家族と連絡を取り合っていた。毎週日曜日の午後5時ちょうどに集まり、祈祷もしていた。

しかし4月17日の夜、彼女の姉と母がZoomでつながろうとしたところ、彼女からは応答がなかったため、姉が彼女の同僚に連絡した。その後、上海警察とボランティアによってブラッキーさんがすでにアパートで亡くなっているのが発見された。死因はまだ調査中という。南アフリカ外務省のクレイソン・モニエラ報道官は、このニュースをTwitterでリツイートした。ブラッキーさんの本当の死因は確認されていないが、餓死ではないかとの見方がある。

ある市民は「もし中国の最も裕福な都市の一つで、飢餓や封鎖の二次災害として、誰かが、特に外国人が本当に死んだとしたら、非常に恥ずかしいことで、スキャンダルですらある」と示した。