中国の人権問題を発信 元NBAのカンター氏 2022年ノーベル平和賞候補にノミネート

人権
ボストン・セルティックスの試合でジェノサイドや強制労働を弾糾する内容を描いたエネス・カンター氏のバスケットボールシューズ。2021年10月22日撮影(Maddie Meyer/Getty Images)

中国共産党(中共)によるウイグル人やチベット人などへの人権問題に声を上げてきた元米プロバスケットボール(NBA)選手のエネス・カンター・フリーダム氏が2022年のノーベル平和賞候補に推薦された。カンター氏は2月10日、ボストン・セルティックスからヒューストン・ロケッツにトレードされた4日後、解雇されており、セルティックスに所属していた際、巨大な中国市場でビジネスを展開するNBAから口をつぐむよう警告されたこともあったという。

 

2022年ノーベル平和賞候補にノミネート

米月刊誌「アトランティック」2月16日付によると、カンター氏はノルウェーの国会議員によって推薦された。30人のノーベル賞受賞者からも支持を得ているという。

カンター氏はツイッターで「ノーベル平和賞の候補になったことを光栄に思う。時には、給料よりも身を挺して行動することの方が大切なこともある」と投稿した。

カンター氏はSNSやインタビューを通して中国共産党の非人道性を積極的に訴え続けてきた。NBAの試合では「フリーチベット(Free Tibet)」「中国での臓器狩りを停止せよ(Stop Organ Harvesting in China)」といったスローガンをバスケットボールシューズに描いて注目を集めた。

また、中国共産党による「臓器狩り」にも言及した。「中国(共産党)は強制的な臓器摘出を行なっている。民族、宗教団体、チベット、ウイグル、キリスト教徒、法輪功などが狙われている」とツイッターやフェイスブックに投稿。「人類に対する犯罪だ」と臓器を目的とした殺人を直ちに停止するよう訴えた。

カンター選手はスイス生まれのトルコ系。2009年に10代で渡米した。2021年には政治犯として当時投獄され7年以上会えていない父親に「遠く離れていても、父の教え通り正義のために戦い続ける」とツイッターに投稿。父親の存在が信念を貫く強さの原動力になっていると語った。

 

カンター氏は経済的な報復を恐れて中国共産党の人権侵害を黙認しているスポーツ選手や業界に対しても「中国でのジェノサイド」に立ち向かうべきだと呼びかけていた。「世界中の人権侵害に対する認識を高める」というカンター氏の活動を支援できることを誇りに思うとデビッド・バラダオ議員は語った。

カンター氏は2月10日、ボストン・セルティックスからヒューストン・ロケッツにトレードされた4日後、解雇された。中国共産党からの影響を受けたのではないかといった憶測を呼んでいる。

 

「後悔していない。今後も中国共産党による悪行を発信し続ける」

カンター氏は、2月17日、米国政府に政策を提言する専門家組織「現在の危機に関する委員会:中国(Committee on the Present Danger: China)」主催の授賞式に出席した。NBAでは「社会正義や世界中で起きている数々の不公平について発信できる」はずが中国の人権問題は例外で、逆に報いを受けることになると述べた。

授賞式では、中国共産党の残虐な弾圧行為を知ったきっかけについても触れた。慈善活動として子供たちにバスケットボールを教えていた時、ある女性が「イスラム教徒の兄弟姉妹が強制収容所で毎日のように拷問やレイプを受けている」と訴えかけてきたという。衝撃を受けたカンター氏は当日、ホテルに戻って「中国で何が起こっているのか調べ始めた」と語った。

中国本土ではチベット人やウイグル人、少数民族が恣意的に拘束され、不妊手術や強制労働が行われている。中国共産党政権は20年以上にわたり、法輪功学習者に対しても大規模な弾圧を行ってきた。2019年にイギリスで開かれた「民衆法廷」は、中国共産党による臓器狩りの「主な犠牲者は法輪功学習者」と結論を下した。

カンター氏はセルティックスに所属していた際、巨大な中国市場でビジネスを展開するNBAから口をつぐむよう警告されたこともあった。現在置かれている状況について「後悔していない。道徳や原則、価値観などお金やビジネスよりも大切なものがある」と述べ、今後も中国共産党による悪行を発信し続けると語った。

 

【引用記事】
・大紀元 https://www.epochtimes.jp/p/2022/02/86973.html
・大紀元 https://www.epochtimes.jp/p/2022/02/87265.html

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