効果上がらぬコロナ対策にブラジル大統領が中共に爆弾発言

時事

エポックメディアNEWS(2021年5月11日)によると、中共ウイルス(新型コロナウイルス)の発生源に関して、ウイルスが実験室から来たものであることはますます国際社会のコンセンサスになりつつある。しかし、これまでに公にそう主張してきたのは一部のウイルス学者やメディア世論に限られてきた。それが最近、ブラジルのボルソナーロ大統領が初めて「ウイルスは実験室からきた可能性」および中共が生物戦争を発動したことを示唆したという。

このホットなニュースは多くのメディアによって報道されている。ボルソナーロ大統領のスピーチには実に多くの暗示的なコメントが含まれていた。彼はこう言った。
「これは一種の新しいウイルスだ。実験室で生まれたのか、それとも人間が食べてはいけない動物を食べたのか、誰にも分からない」
「軍は細菌戦争が何であるか、その実態を知っている。我々は新たな戦争に直面している。」
「私は明言しないが、コロナ禍の中で国内総生産(GDP)が一番成長したのはどこだ?」

ボルソナーロ大統領は一度も「中国」という言葉を発していなかったが、彼はウイルスが実験室から生まれた可能性、そしてそれが生物戦である可能性を明確に示唆し、その上、コロナ禍の中のGDP成長率が最も高い国は「問題がある」と言っている。中共ウイルスは武漢の研究所で作られたとの説は、以前から繰り返してささやかれており、コロナ禍の中のGDPに関して、コロナ発生以来G20経済圏の中でプラス成長を記録した唯一の国が中国であることは周知の事実なので、彼が言っているのは誰が見ても「中国」だ。

1週間ほど前にも、ブラジルのパウロ・ゲデス経済相も、保健省傘下の審議会で録画に気付かずに、「中国製ワクチンは米国のものに劣る」「コロナを発明したのは中国だ」などと同様の爆弾発言をして、物議を醸したばかりだった。その様子を生中継した動画はすぐに削除されたが、ゲデス経財相はいまだに謝罪したり、発言の撤回をしていない。

ブラジルの高官が相次ぎ中国を非難するこれらのニュースから見えてくる問題は2つある。1つは、ウイルスが研究所由来であるという見解は一部のブラジル当局者の意見ではなく、それがブラジル執政当局の一般的普遍的なコンセンサスである可能性があるということだ。そうでもなければ、指導者らによるこのような中国に対する連続砲撃の現象は起こらない。

2つ目の点というのは、これがまた非常に尋常でない現象で、ブラジルと中国の関係はこれまで常に親密だった。コロナ発生後も、ブラジルは中国製ワクチンの海外試験の最大の拠点となり、中国はブラジルに1億回以上と海外国家では最多となる科興控股生物技術(シノバック・バイオテック)製ワクチンを提供している。では、なぜ中国とあれほど緊密な関係にあったブラジルが今になって急に「ウイルスは中国の研究所から来たかもしれない」と言い、それも「生物戦を発動した疑いがある」などと公然と非難する最前線に立ったのだろうか?

中国側の反応を見ると、中国外務省の汪文斌報道官は6日の定例記者会見で、「実験室製造」と「生物兵器」について、直接尋ねられ彼はこう答えた。「ウイルスは全人類の共通の敵だ。現在の最優先事項はすべての国が協力して一日も早くウイルスに打ち勝つことである。私たちはウイルスを政治化し汚名を着せるいかなる言動にも固く反対する」

今回ばかりはその回答はひどく歯切れの悪いもので、これでは自らの威信を損なっているのと同じと言える。

話を戻すと、ブラジル大統領が突然声高にその立場を逆転させたのは、ブラジルでのウイルスの流行が依然として深刻であることが重要な背景にあると思われる。

ブラジルの感染者総数は世界で3番目に多く、5月6日時点ですでに1500万人を超えた。死亡者数は41万7千人で4月初めのピーク時には1日の死者数は4000人を超え、今のインドよりもひどかった。その後も平均1日当たり2500人から2800人と死者数はずっと高い水準にとどまったままだ。見ての通りブラジルは中共から大量のワクチンや重要な医療物資を手に入れても感染状況は落ち着くどころか、逆に上昇し、今でも高い感染者数や死者数水準を維持している。これらのことから、ブラジルと中国の医療協力は「失敗だ」と言える。そのため、ブラジルは人命や経済的コストの面などで多大なる犠牲を払ってきた。おそらくこのこともブラジル大統領がついに堪忍袋の緒を切らした理由の一つであると思われる。

ABCニュースのラジオ番組は5月3日にある独占報道をした。報道の中で米エネルギー省傘下のローレンス・リバモア国立研究所(LLNL)に所属する「z部門」が中共ウイルスの起源について、早くも1年前から極秘な研究調査を行っていたことを初めて明らかにした。そして、その得られた最終的な結論というのが、現在世界でパンデミックを引き起こしている中共ウイルスは中国の武漢にある研究所由来の可能性を排除できないということだ。LLNLの広報担当者はメディアに対し、そのような極秘報告書が確かに存在することを認めたが、それ以上の情報提供は拒否した。また報道では、同報告書の中のわずかな一部の内容は当時トランプ政権の国家安全保障委員会や国務省など、ごく一部の機関にのみ送られたようだ。

このニュースから3つのことがわかるという。
1.まずこの報告書というのは昨年の時点でもうすでに完成していた。それも最高機密文書に分類され、今に至ってもなお、少しも開示されていないということから、その中の情報は極めて敏感で機密性の高い情報が含まれていることや、一般的な部門の報告書やメディアの報道などを遥かに凌ぐ権威性や専門性を持つことを示している。

2.この報告書を発行したローレンス・リバモア国立研究所というのは米国が当初、旧ソ連を念頭に置き1952年に核兵器の研究開発を目的として特別に設立された後に、バイオテクノロジーや生物兵器の領域の研究にも拡大された機関である。従って、そのような機関が報告書を出し、それも中共ウイルスは実験室由来の可能性があると結論づけたこと自体、米国の冷戦時期からのトップ機関が、今回の流行を単に公衆衛生上の危機ではなく、生物兵器の疑いのある国家行動として扱っていることを示している。

3.この結論は当時トランプ政権に報告されていたため、トランプ氏がたびたび公の場で「中共は悪意を持ってウイルスを世界に拡散させている」と主張した。しかし、当時では左派メディアによって、陰謀論としてみなされ攻撃された。今となっては、バイデン政権もこの報告書を見たにちがいなく、バイデン氏はいまだにこの主張を陰謀論だと言及していないどころか、むしろ左派メディア自らが初めてそれを公に報道している。従って、バイデン氏はトランプ氏のように公に中共が流行を武器化したなどとは非難していないとしても、彼と彼の政権は内心ではそう同意しており、それも左派メディアの報道を通じて、間接的に自分たちの態度を表明している。

ウイルスの発生源や生物兵器の疑いに関する米国とブラジルの指導者たちの見解というのは非常に近いということで、おそらく同様の見解を持つ指導者は他にももっといるだろう。ただ今は、流行の浮き沈みをまだ制御できていないため、どの国も責任追及をする余裕はないので、一時的に保留にしているだけかもしれない。しかし、当分の間の保留は責任追及をあきらめたことではないので、各国は共にこの災難の波を乗り越え、中共から真相を取り戻すのを心待ちにしていることだろう。そのことについては中共も知っているので、今、四方に打って出ては大規模な外交的攻勢をかけている。その目的はパンデミックを利用して国際情勢の変化を促進して、国際秩序をリセットしようと企む一方で、もう一方では責任回避のためと言える。というのも、中共は主導権を握れば握るほど、使える切り札は多くなるので、将来的な責任追及の攻撃をかわすのに有利になるからだ。

米国と中共における「多国間主義の在り方」

5月7日に開催された平和と安定を維持する多国間主義の在り方を議論する国連安全保障理事会の閣僚級のオンライン会合で、中国の王毅外相と米国のブリンケン国務長官は再び「交戦」した。米中対立という現在の大きな傾向はすでにブレーキが利かない所まで行っているので、この二人が「交戦」すること自体何も珍しいことではない。このニュースで本当に注目すべきところは、双方が主張する「多国間主義と国連の基本原則の維持」というその観点が正反対なものであり対立している点だ。「多国間主義」は、中共が現在精力的に推進している新しい国際秩序の重要な概念である。

会合の司会を務めた王氏は米国がイデオロギーで世界を分断することは多国間主義の精神に反すると主張し、内政不干渉を訴え、台湾を支援する米国を牽制した。
一方、ブリンケン氏は中国と名指しするのを避けながら「力の行使によって領有権問題を解決しよう」としたり、権利を主張して「他国に選択や決定を指図・強制する」国々を批判し、米国は全ての国に恩恵をもたらす安定した国際秩序を求めていると強調した。

お互いに国際秩序を乱していると批判し合い、双方とも「多国間主義の維持を」と強調するも、それぞれの原則や立場は全くの正反対と言える。つまり、中共が言っている多国間主義と米国が思うそれとは全く同じものではないからだ。これは中共が国際社会における様々な場面で常に語ってきた「グローバル化」と似たようなものだ。中共の「グローバル化」の核心的な枠組みは、「一帯一路」、ファーウェイ、TikTok、デジタル人民元などで、その形のないものは「民主に勝る全体主義」や「人類運命共同体」などといったイデオロギーだ。

中共の言う「多国間主義」というのも同様で、それは覇権主義ではなく、公正でなくてはならず、みんなで話し合って決めるのであって特定の国が決定権を持つのではないと主張している。明言はしていなくても、それは米国がリーダーシップをとる既存の国際秩序を認めないと言っているのだ。つまり、「米国はそろそろ身を引いてどこかへ行け。今度は自分が玉座に座って新しい秩序を作る番だ」と言っているのと同然だ。

しかし、一方の米国が言う「多国間主義の維持」とは「現在のシステムこそが多国間主義であり、それをつくったのは我々だ。このシステムは非常に効果的かつ公正なものである。一部の国が『主権は不可侵であり内政干渉するな』などと言って、人権を踏みにじったり規則を破ったりしようとすれば、米国は目をつぶることはできない」とブリンケン氏ははっきりと述べている。

見ての通り、中共のやり方というのは実際には党文化を中核とした一連の発言権体制を徹底的に確立することで、人類の普遍的な価値でさえも、「中共特色」によって再定義し、人権や民主などの歴史的用語からグローバル化や多国間主義などの現代的な新用語までも中共はすべて独自の定義を与えようとしている。だからこそ、中共は人権を踏みにじる時、まるで正当な理由でもあるかのように正々堂々と「我々は人権を保護している」ということができる。また、中共は全体主義的な専制政治を拡張している時、自信を持って「我々は最大の民主国家だ」などと言えるのだ。

そして今回のように「グローバル化」や「多国間主義」などの旗を高く掲げながら、米国こそ覇権主義だと堂々と非難できる。中共はいつも「これは私たちが定義する人権や民主、多国間主義だ。あなた方が私たちの定義に同意しないのはあなた方の文化と私たちの文化に差異があるからだ」と言って、常にこの手の詭弁を盾にしてきた。しかし、それと文化の間は全く何の関係もないのである。

中共のプロパガンダは確かに多少なりとも人々を混乱させる効果がある。バイデン氏でさえ、その罠に引っかかり、中共と一緒になって「私はこれが中国の文化だと理解している」などといい加減なことを言っていた。中共の詭弁の倫理や概念のすり替え、巧みにすり替えるプロパガンダの手口などについて、今後も記事を掲載したい。