富裕層向けキプロスパスポートを廃止/バイデン氏息子のウクライナ疑惑

時事

欧州連合(EU)加盟国のキプロス政府はこのほど、同国の外国人投資移民プログラム、「ゴールデンパスポート」を11月1日から廃止すると決定した。今年8月、海外メディアが同プログラムの悪用問題を取り上げ、中国共産党の高官や中国人富豪らが密かにキプロスに移住したと指摘した。一方、ニューヨークポスト紙はバイデン氏の息子、ハンター・バイデン氏が2015年に当時米国副大統領である父親のジョーバイデン氏をウクライナのエネルギー会社の幹部に紹介したと報じた。

キプロス、「ゴールデンパスポート」を廃止、中国高官の「移民の夢」を砕く

大紀元(2020年10月16日)によると、カタールの放送局アルジャジーラは10月12日、調査報道を行い、キプロス議会のディミトリス・シルリス(Demetris Syllouris)議長やクリスタキス・ジョバニス(Christakis Giovanis)議員らが、「マネーロンダリングの疑いのある中国人実業家」に、ゴールデンパスポートの取得を支援すると約束したという。

アルジャジーラの記者は、「マネーロンダリングで有罪判決を受けた中国人実業家」の代理人と装い、キプロスへの移民について、シルリス議長や、移民コンサルタント会社の責任者らに面会した。

移民コンサルタント会社側は「十分な投資をすれば問題ない」とし、ゴールデンパスポートを取得できるうえ、「新しい名前や身分も得られる」と返答したという。

また、シルリス議長は同記者に対して、「彼(中国人実業家)に、政治的、経済的、社会的支援を含め、あらゆるレベルにおいて、キプロスの全面的な支援を受けられると伝えるように」と話した。同記者は議長との会話をカメラに収めた。

同報道が公表された後、世論は強く反発した。米ラジオ・フリー・アジアの15日付によると、キプロスの一部の市民はアルジャジーラの報道を受けて、議会の前で抗議した。キプロス政府は13日、同プログラムを廃止し、過去に発行したパスポートを見直すと発表した。

欧州委員会は声明を発表し、議長らの発言について「信じられない」と示し、キプロス政府に対し「徹底的な調査を希望する」とした。

キプロスでは2013年、外国人投資を呼び込むために「ゴールデンパスポート」プログラムを開始した。不動産の購入など215万ユーロ(約2億6475万円)を投資すれば、ゴールデンパスポートを申請できる。パスポートの取得後、EUの他の26カ国を自由に渡航できる。

プログラムの開始以来、キプロスは約4000通のパスポートを発行した。同国に70億ユーロ(約8620億円)以上の投資がもたらされた。その一方で、同プログラムは、以前から汚職やマネーロンダリングなどの犯罪行為を助長すると根強く批判されている。

欧州委員会は2019年1月の報告書で、「ゴールデンパスポート」プログラムは、マネーロンダリング、汚職、脱税のリスクを高めるほか、犯罪グループがヨーロッパに潜伏する手段になりかねないと警告した。

同委員会のフォンデアライエン委員長は9月、欧州議会で就任後初めての一般教書演説を行った際、「欧州の価値観は売りものではない。法への破壊行為は容認できない」とし、「ゴールデンパスポート」プロクラムの撤廃を訴えた。

アルジャジーラは8月末、キプロスが2017~19年にかけて、70カ国以上に1400通の「ゴールデンパスポート」を承認し、うち500以上が中国人だと報じた。そのうち8人の中国人の名前を公開した。中には、アジア一の女性富豪で中国最大の不動産開発会社「碧桂園(カントリーガーデン)」創業者の次女の楊惠妍氏や、四川省成都市人民代表大会(市議会に相当)メンバーの陸文彬氏(音訳)など複数の中国高官が含まれている。

バイデン氏息子のウクライナ疑惑

NTDジャパン(2020年10月17日)によると、富裕層向けキプロスパスポートの件で、潜入記者が黒幕を暴いたように、10月14日、米国でも同様の政治的黒幕が暴露され、大統領選に出馬している民主党のバイデン氏も関わっているという。
ニューヨークポスト紙はバイデン氏の息子、ハンター・バイデン氏が2015年に当時米国副大統領である父親のジョーバイデン氏をウクライナのエネルギー会社の幹部に紹介したと報じた。