「反中共」が欧米の選挙戦指標に

時事
英国の次期首相を決める選挙戦でのTV討論会。リズ・トラス外相は「我こそが中共に対して態度が強硬なリーダだ」と主張した。

インフレや不況への懸念は有権者の心に深く根付いているが、英国、豪州、米国、その他の国では、経済問題だけが選挙運動の唯一の焦点ではなく、「中国共産党(中共)がもたらす脅威」も選挙戦を左右する大きな議題となっている。

AP通信によると、世界第2位の経済国・中国との貿易・投資促進および軍事力増強、スパイ活動、人権問題への懸念のバランスをとることが、長年にわたって欧米各国によって模索されてきたという。

ナンシー・ペロシ米下院議長の台湾訪問を受け、中共が台湾周辺の空と海で大規模な軍事演習を行ったため、米国、欧州、日本、豪州の反発を招き、さらに北京による監視・干渉に対し欧米の情報機関は警告を強めていることがうかがえるからだ。

世論調査では、多くの民主主義国で反中感情が生まれ始めている。政治家は中共を標的にし、自国の経済的苦境を北京の責任にし、北京政権が近隣諸国や世界に対して安全保障上の脅威を与えていると糾弾するようになった。

英国の次期首相を決める選挙戦で、リズ・トラス外相とリシ・スナック元財務長官は先月、テレビ討論会で「我こそが中共に対して態度が強硬なリーダーだ」と真っ向勝負をした。

これは、退任するジョンソン首相のビジネス中心の「親中」姿勢とは全く異なり、多くの欧米諸国などの民主主義社会での選挙戦でもまた、反共主義的な言論がますます強くなっている。

トラス外相はかつて、より効果的に北京とモスクワに立ち向かうために「自由ネットワーク」を拡大することに言及した。また、北京が台湾に対して「侵略的であり、情勢を広範囲にエスカレートさせ、地域の平和と安定を脅かしている」と非難した。

スナック元財務長官は、北京が資金提供している孔子学院のいくつかを閉鎖し、中国のネット上の脅威と戦うための国際連合を主導し、英国の企業や大学が中共のスパイと戦うのを支援することを約束した。

中共の脅威が高まる中、英国の秘密情報部(MI6)のリチャード・ムーア長官は先月、中共の脅威がテロ対策を抜いてMI6の最重要ターゲットになったと述べた。

今年5月に行われた豪州の選挙では、中国問題は特に重要視され、最終的に選挙で敗れた与党は野党に「北京に立ち向かう勇気がない」とレッテルを貼ろうとした。

勝利した労働党は、豪州が対中政策を調整することを否定し、また台湾の海上・領空周辺での中共の大規模な軍事演習は「過剰反応であり不安定になる」と述べた。

米国では、今秋の中間選挙で中国問題が最大の焦点となることが予想されている。

米世論調査機関ピュー・リサーチ・センター(PRC)が今年6月に発表した世論調査では、北米、欧州、アジアで調査を引き受けた19カ国の多くで、中共政府に対するマイナスなイメージが過去最高になったと示された。

【引用記事】ニュース最前線 香港 https://www.youtube.com/watch?v=JySkAq4o43s