国連機関の3分の1を中国共産党が支配

時事
国連ビル(イメージ / Pixabay CC0 1.0)

看中国(2021年5月7日)によると、米連邦議会の常設機関である米中経済・安全保障検討委員会(USCC)は4日、定例報告書で、中国高官が4つの国連機関の事務局長と1つの国際機関の総裁を務めており、国連機関総数の約3分の1を占めていると発表した。

中国共産党(中共)の幹部が最高責任者を務めている国連機関は、国際電気通信連合(ITU)、世界の航空旅行や航空業を規制する国際民間航空機関(ICAO)、国連工業開発機関(UNIDO)、国連食糧農業機関(FAO)の4つである。

国連機関の最高責任者に加えて、重要な職位に就いている中共の幹部も少なくない。例えば、国連経済社会局(DESA)の事務局次長、国連開発計画(UNDP)の事務局次長、国際司法裁判所(ICJ)の副議長などが挙げられる。

また、世界貿易機関(WTO)では、中共の不正な貿易慣行や国際機関に対する影響の懸念が高まる中、5月4日、ンゴジ・オコンジョ=イウェアラ事務局長が、4人の新たなWTO事務局次長の一人に、中国の張向晨商務部副部長を選出したと発表した。

他に、世界の環境政策を決定する国連環境計画(UNEP)のチーフ・サイエンティストである劉健、世界知的所有権機関(WIPO)の事務局次長である王彬穎も中共の幹部である。

中共は長年にわたり、国連などの国際機関の要職を手に入れ、国際機関の政策を直接中国側に有利になるよう働きかけてきた。

中共は、先進国があまり関心を持たないか、投げ出してしまったか、または油断していたような国際機関に注目して、事務局長ポストを取るという作戦を、地道に進めているように見える。貧しい小国でも国際機関では大国と同じ1票をもっているので、そこで着実に影響力を拡大し、中国が望む方向への転換を試みているわけで、戦略的な動きは今後も続くと言える。

【参考記事】
gooニュース「WHOや国連の『中国支配』が止まらぬ訳。3割占める中国人が自国優先」2020年9月16日

【動画】NTDジャパン「懸念すべき国際機関に対する中共の影響力」2021年5月7日