twitterなど米国巨大テック企業が中国共産党に跪く理由

時事

先日、米国上院司法委員会がtwitter(ツイッター)とfacebook (フェイスブック)の CEO を召喚する決定を出した。バイデン大統領候補の息子に関するスキャンダルを取り上げた「ニューヨーク・ポスト」の記事が拡散するのを両者が制限したことを受けたもので、これらの言論の検閲はいよいよ見直す時がきたようだ。

今回のバイデン候補の息子ハンター氏のスキャンダル事件をめぐって、フェイスブック、ツイッターなどが事件に関する情報をシェアできないようにしたり、シャドウバンなどあからさまな拡散妨害を行った。トランプ大統領のアカウントも例外ではなかった。

なぜ、これらのソーシャルメディアは大統領の投稿まで削除する勇気があったのだろうか?また中国共産党に関するその他の敏感な話題は言うまでもなく投稿がしばしば禁止されている。ツイッターが李飛飛氏を使ったから?フェイスブックのザッカーバーグ氏の妻は中国人だから?なぜツイッターやフェイスブックは中国共産党に跪くのか?

逆に言えば、中国共産党はどうやってこれらの企業を跪かせることができたのか?多くの中国企業がフェイスブックで広告を出しているからだという意見もあるが、実は他にも彼らの存亡に関わる重大な理由があるという。

中国共産党が市場を利用して世界中の多国籍企業や政府を脅迫し、これらの技術巨人を誘致するのと同じだと言っている人もいるが、中国にはもう一つの巨大な市場があるという。

中国の「データ市場」

「データ市場」は、普通の意味での商品市場ではない。なぜならAI は基本的に2つのもので構成されており、一つはアルゴリズムで、もう一つはデータだ。普通のパソコンのプログラムとは違う。

データは AI において非常に重要なあるいは決定的な位置を占めている。
例えば、消費者がある商品を買うか買わないかの予測も同じで、その場合、あなたの給与のデータがあるとアルゴリズムはより正確な答えが得られる。あなたの給与データがないとアルゴリズムの精度が総体的に退くことになる。人工知能は人間と同じで、この人のことをよく知っているとこの人の好みや願望を判断するのは簡単だ。AIも同じでデータが多ければ多いほど良く、あなたの行動をより正確に予測することができるようになる。だからこそデータは AI 業界にとって魅力的といえる。

そして、中国と普通の国との最大の違いはここにあり、中国共産党政権の社会では、国民全てのデータに無制限にアクセスできるのだ。給料はもちろん、活動範囲、あなたの普段の会話内容、どのサイトを見ているのか、あなたが入ったすべての場所、あなたがかけたすべての電話、あなたが言っていることでさえすべて盗まれている。それは、国が監視装置を持っているからだ。現在、中国共産党のネットワーク全体、ユーザーのログインは全て実名で、携帯電話の番号はすべて紐付けられている。ネット上での活動はすべて監視されているのだ。中国人はアリペイやウィーチャットでお金を使っており、これは全ての消費者の活動も監視されていることを意味する。

普通の民主主義国家では、個人のプライバシーが保護されており、データ市場は制限され、収集できるデータ量も限られているが、全体主義国家では法律や政府の禁止事項がないだけではなく、国民のデータを積極的に全面的かつ体系的に収集している。このような国家行為を通じて収集されたデータは権威あるものであり、質の高いものとなる。中国の人口が多いため、データの総量は非常に膨大で、つまり、この大量のデータは米国のテック企業にとっては大きな吸引力がある。

では、なぜ、テック企業はこのデータにこだわるのだろうか?

これらのテック企業が、なぜ、ユーザーのプライバシーを盗もうと考えているのかを見ればわかる。情報はお金になり、ユーザーに関する情報が多いほど、彼らの広告アルゴリズムが正確であればあるほど、広告の精度が高くなる。広告の精度が高くなれば、ユーザーが広告商品を購入する割合が高くなる。そして広告主が儲かればさらに広告に投資し、投資すればするほど儲かる。だからお金がなければ、アルゴリズムをより最適化することはできない。

2018年のグーグルの広告収入は収入の70.4%を占め、ツイッターの広告収入は収入の82%を占め、そしてフェイスブックの広告は収入全体の98.5%を占めている。
広告収入の割合が高いほどAI に依存するわけだ。AIの精度に依存すればするほどより多くのデータを欲しがる。このような循環になる。

比べてみれば、他のハイテク企業(例えばアップル)はこの方面では跪く必要性はなく、アップルの主な収益は携帯電話やパソコンなどのハードウェアの販売によるものだからだ。広告もAIも頼らない。しかし、リテール(小売り)は中国共産党に跪く必要があり、アップルは中国の最終消費者を必要としている。つまり、同じように中国共産党に跪くにしても理由が異なる。

中国にはネット封鎖があるためグーグルもフェイスブックもツイッターも使えないのに、なぜ、これらの企業が中国共産党に跪くのか?
昔は グーグルが中国共産党に「ノー」と言ったが、なぜ、今は言えなくなったのか?

以前はビッグデータや人工知能が成熟していなかったからで、実はこの広告については、単純で直接的な理由に過ぎない。さらに深い理由はどのテック企業も十分に認識しており、これらの企業の将来が次の波に乗れるかどうかにかかっているからだ。

1990年代のトレンドはパソコン、2000年代のトレンドはインターネット、2010年代のトレンドはビッグデータ、2020年代は人工知能で、すべてのテック企業はそこから生まれた。トレンドに合わせて上下するからこそ、トレンドをつかめば未来をつかめると言えるのではないだろうか。

それよりも中国共産党がデータ収集において世界的に大規模に展開したのは5Gだ。5Gは4Gにはできない方法で技術を推し進めた。最大の特徴はモノのネットワークで、すべてのアイテムがインターネットに接続できる。冷蔵庫、街灯、コンセント、自動車、あなたのすべての持ち物は別の仮想世界にある。

5Gが人から集めるデータは、簡単な携帯電話の比ではない。人のデータだけではなく、周囲の環境データも収集することができる。複数の人が同じ環境または異なる環境にいてもデータを収集することができる。これは質的な変化だ。

米国が中国共産党のこの動きに気付いたのは幸いだったかもしれない。中国共産党はもう少しで成功するところだった。もし、中国共産党のグローバル5G が世界的に展開された場合、全世界は中国共産党の監視下にあり、これらの IT 大手は中国共産党のグローバル5Gネットワークから膨大なデータを得られる。昔のデータ量が裏庭のプールとすれば、世界的な5G 展開でのデータ量は海だ。そのため、国家発展計画の根幹をなすものでもあり、中国共産党は5Gに必死なわけだ。もし、成功すれば、米国を乗っ取ることができる。なぜなら、米国のすべての情報ネットワークが監視され、武器も制御できるようになるからだ。

実は5G以外に中国共産党はこの方面については既に実行している。メディアが何度も報じているが、中国共産党はハッカーを使って米国市民の個人的なデータを盗み、政府のデータベースまでハッキングしていた。2019年6月アメリカ法務省の訴訟案によると米国の健康保険会社に中国共産党のハッカーが侵入し、8000万人近くの米国人の医療情報が盗まれた。2020年2月米国は、中国軍のハッカーが2017年に米国信用情報機関大手エクイファックス(Equifax)に侵入し、約1億4500万人の消費者の機密個人情報を盗んだと訴えた。
TikTok(ティックトック)でデータを獲得するのは言うまでもなく、米国に対してもあえてやるなら、他の国はなおさらだろう。これだけ膨大なデータがあると グーグル、フェイスブック、ツイッターなどの企業はそれらのデータを持ちたがる。中国共産党は人工知能の時代の最も重要な要素であるデータをつかんでいる。

アルゴリズムを研究するのとは対照的に、基本的なデータを得るには多くの知能を必要とせず、中国国内では権力があればデータを入手することができる。その観点から考えれば グーグル、フェイスブック、ツイッターがバイデン氏の不正ビジネスなどの疑惑を遮蔽しようとしていることやトランプ氏の顔に泥を塗ろうとすることも理解できるというものだ。

彼ら(グーグル、フェイスブック、ツイッター)はまだ諦めておらず、5Gが無くても別の機会があるかもしれない。中国共産党のデータを使って自分たちのAIを最適化することもできるし、中国共産党がいなくてもバイデン政府と協力すれば、同様により多くのデータが得られる可能性がある。なぜなら左翼政府は選挙で助けてくれた企業に恩返しする必要があるからだ。

これに対し、トランプ政権は国民のプライバシーを守ることを重視しており、政府がすべてを統制することに反対している。

・大紀元「中国共産党がfacebook twitter等の巨大テック企業を、これほどにまで跪かせられる理由」(2020年10月30日)