ローマ教皇 米国務長官との面会拒否ー中国共産党に対する配慮か 

時事

ポンペオ米国務長官は9月30日、バチカンに到着し2日間にわたる訪問を開始したが、ローマ教皇との面会は拒否された。長官は演説で、法輪功などを例に、中国共産党の人権迫害を批判し、バチカンに対し「勇気を持って、中国共産党に対して人権を守るよう強く主張する」ことを呼び掛けた。

ポンペオ氏、バチカンに「宗教的迫害に勇敢に戦うよう」励す

ポンぺオ氏は、「今日、世界における宗教的自由の侵害が最も深刻な国は中国である。すべての共産主義政権と同様に、中国共産党は自らを究極の道徳的権威と見なしている」とし、「中国共産党は驚くべき規模で信仰の自由を消滅させている」と批判した。

「中国共産党は法輪功学習者、およびキリスト教、チベット仏教徒、他の全ての宗教団体に対して残酷な取り締まりを行っており、もちろんカトリック教徒も免れていない」と厳しく指摘した。

ポンペオ氏は演説の中で、第二次世界大戦中にユダヤ人を支援するためにナチスの迫害に屈することなく殉教し、2004年にはイスラエルから「世界の正義の人」の一人として称賛と表彰を受けたリヒテンベルク司祭(Father Lichtenberg)の例や、断固として共産主義に反対し、ソ連と東欧を共産主義の鉄のカーテンから解放した「良心革命」において重要な役割を果したヨハネ・パウロ2世元教皇の例を挙げた。そしてバチカンも、「邪悪な政権に直面する時、彼らと同じように勇気を見せて欲しい」と呼びかけた。

米国はバチカンに対し、2018年に中国と締結した司教任命権をめぐる暫定合意を取り消すよう求めてきた。

フランシスコ教皇は中国の人権侵害についてこれまで沈黙を貫いてきた。

中国とバチカン、司教任命の暫定合意延長 中国側が発表

日本経済新聞(2020年9月15日)によると、中国外務省は15日、キリスト教カトリックの総本山バチカン(ローマ教皇庁)と9月に期限を迎える司教任命の暫定合意を延長する方針で一致したと発表した。中国側が国内の司教候補者を選んでバチカンに通達し、ローマ教皇(法王)が承認する仕組みを続ける。

ロイター通信が暫定合意を2年間延ばす内容で中国とバチカンが合意したと伝えた。中国外務省の汪文斌副報道局長は15日の記者会見で「バチカンとの合意内容を引き続き良好に実施していきたい」と述べ、報道内容を事実上認めた。バチカン側は現時点でコメントしていない。

両国は2018年9月22日に2年間の期限つきで暫定合意し、期限切れまで約1週間に迫っていた。

合意の延長は中国側が強い意欲を示していた。習近平(シー・ジンピン)指導部には中国国内の司教の任命についてバチカンの「お墨付き」を得て中国当局の意に沿わない活動をする地下教会を封じ込めたい思惑がある。米国の推計によると、中国内のカトリック信者はバチカンへの忠誠を優先する「地下教会」の信者を含めると約1200万人いるとされる。

習指導部は「宗教の中国化」を掲げ、18年に中国当局の許可を得ない集会を処罰するなど宗教の規制強化をしている。

中国側にはバチカンとの関係を改善し、将来は国交の回復につなげたいとの思惑もある。台湾が欧州で唯一国交を結ぶバチカンを切り離し、台湾を孤立させる外交戦略を描いている。

【参考記事】
・大紀元「ポンペオ長官、ローマ教皇に面会拒否されるも、「中国共産党に勇敢に立ち向かうよう」と忠告」(2020年10月1日)

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