大紀元(2020年10月19日)によると、中国政府と国連が先日、中国の電子商取引大手アリババの本社からほど近い中国・杭州市に、国連初のビッグデータ研究所を設置する協力意向書に調印した。
専門家は、これを「中国が国連の看板を利用し、グローバル監視網を拡大する」と懸念している。
「米国政府が中国への情報の流れを制限する中、ニューヨークの国連事務局は、北京と協力して、世界規模の合同データハブを中国国内に構築する予定だ」と米ボイス・オブ・アメリカ(VOA)は「ウォール・ストリート・ジャーナル」に最近掲載されたハドソン研究所の研究員クローディア・ロゼット(Claudia Rosett)氏の寄稿文を引用して報じた。
同計画は国連の「持続可能な開発のための2030アジェンダ」の一環。国連加盟諸国のデータを分析するための研究センターや、中国の偵察衛星を利用する地理空間情報の研究センターの設立を含む。
2019年6月に、中国国家発展改革委員会副主任の寧吉喆氏と国連の劉振民事務次長らが上海で同計画の「協力意向書」に署名した。中国の元外交副大臣だった劉氏は現在、国連経済社会局の局長を務めている。2007年以降、中国政府の高官が同局の局長の座についている。
習近平国家主席は9月22日の国連総会のビデオ演説の中で、「中国は国連の地球規模地理空間情報イノベーションセンターと持続可能なビッグデータ国際研究センターを開設する」と同合意を宣言した。
地理空間センターは、浙江省徳清県に作られる予定であり、ビッグデータ研究センターは地理空間センターから車で1時間もかからない杭州市に作られる予定となっている。
国連は中国共産党の世界的な野望に奉仕するのか?
国連と米中の億万長者らの関係深化は、世界支配を目指す中国共産党の野望に沿うものだ」とハドソン研究所のロゼット研究員の言葉を同報道は引用した。
ロゼット氏はまた、「今では既に全世界で膨大なデータを独自に収集、または勝手に盗みだしている中国が、国連の支持を得れば、加盟国からのデータ取得が容易になる。国連のデータ収集の基準作りにも影響を与える。ハイテク技術を利用した中国の全世界を対象とする技術的独裁の企てが一段と容易になるだろう」と警告した。
ロゼット氏はさらに、「アントニオ・グテーレス国連事務総長は昨年、中国の一帯一路構想を、国連の持続可能な開発目標と『本質的につながっているもの』と称賛した。また、世界銀行、国際通貨基金(IMF)を含む、何十もの国連関連機関が同構想を支援するための合意書に調印しており、うち4つの機構は現在、中国人トップによって運営されている」と国連は中国によってすでに取り込まれていると指摘した。
雑誌「北京之春」の栄誉編集長である胡平氏は、「人権問題で悪名高い」中国を人権委員会に入れるなど国連の多くの行動は「笑い話」だと批判し、民主主義国家は国連以外の新たな同盟を構築する必要性が強まっていると主張した。
米ニューヨーク大学の法学者である虞平氏も、「国連のビッグデータセンターの構築における中国の苦境は、世界の信頼を勝ち取れないことだ。中国はプライバシーの侵害やこれらのデータを利用した権威主義体制の強化、言論の自由を抑圧しないなどの保証ができないからだ」と指摘した。